ヒールを貫き続けた12年間。亀田興毅に心からのアッパレを贈りたい。
スポーツ界では色々話題になるニュースが続いているが、先日17日に報じられたのが、ボクシング元世界王者亀田興毅の現役引退のニュース。WBA世界スーパーフライ級タイトルマッチで、現王者河野公平に判定負けし、試合後に現役引退を表明した。
このニュースを聞いた時素直に感じたのは「お疲れ様でした。」という気持ち。亀田一家の存在は、TBS系列でやっていたスポーツドキュメンタリー番組「ZONE」で知り、そこからいち視聴者、いちスポーツファンとして彼の姿を眺めてきた。紆余曲折が重なった、本当に燃え尽きたボクシング人生だっただろうなと感じた。
- 作者: 亀田興毅
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プロボクサーとしての成績は35戦33勝(18KO)2敗。WBA世界ライトフライ級、WBC世界フライ級、WBA世界バンタム級で世界王者に輝いた日本人史上初の3階級王者。結果が求められるプロスポーツの世界において、彼の成し遂げた偉業は正当に評価されるべきだと思う。
2006年のランダエタ戦での審判のジャッジ問題や、父親の亀田史郎の問題、マッチメイクの相手が弱いなど、数々の批判を浴びてきたけれど、それは亀田興毅だけに責任があったわけでない。ジャッジした審判団、セコンドの父亀田史郎、試合をマネジメントする陣営側にも問題はあったはずだ。彼のボクサーとしての実力以外の外部の問題で、彼のボクサー人生が悪い方向へ進んでいってしまった部分は本当に残念な部分だと感じる。
試合前の相手を挑発するパフォーマンスが、相手へのリスペクトに欠けるという見方をよくされていたけれど、「ボクシング」という勝ち負けがはっきりと分かれてしまうスポーツに品行方正さや礼儀正しさばかりを求める方が筋違いだと思う。自身がスポーツをやっていた経験上、汚い反則や相手との駆け引き、ヤジの応酬など、勝つためには相手が嫌がる汚いことをするのもスポーツの一部だと断言できる。プロの世界なら尚更だ。
あのパフォーマンスがあったから注目した視聴者やファンもいたと思う。実際、2009年に内藤大助と行ったWBC世界フライ級タイトルマッチは、ボクシング史上2位の視聴率(43.2%)を叩き出した。彼のようなヒール役を背負える存在がいなければ内藤大助の存在がピックアップされることもなかったと思うし、テレビや新聞などのマスコミ、それに反応する世間の人々がボクシングというスポーツに大きな注目を集めることもなかったと思う。
大相撲が朝青龍の引退で人気が低迷したように、ボクシング界も亀田興毅というヒール役が引退することで、新たな話題を提供してくれる人材探しに苦労するだろう。プロ野球やサッカーのようにある程度の人気が保証できるスポーツとは違って、ボクシングのようなスポーツは辰吉丈一郎や亀田興毅のような、「異端児」の存在が不可欠だと思うのだ。
12年間「亀田ブランド」を背負い続けた亀田興毅には心からの「アッパレ」を送りたいと思う。彼みたいな確かな「実力」と「話題性」を兼ね備えた選手は中々生まれないと思うが、彼みたいなボクサーは今後現れるのだろうか。
- 作者: 原功
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