大阪で「相田みつを展」開催。なぜ人々は相田みつをに惹かれるのか。
先日、大阪梅田のひとりカラオケ店「カラワン」に行った帰りに、たまたま阪急百貨店に寄ったら「相田みつを展」が開催されているというので観てきた。9月25日から10月5日まで開催中なので、明日が最終日。本当に、たまたまやっていてタイミングが良かった。
スポンサーリンク
中は撮影禁止だったので、表を撮影するのが限界でした。相田みつをが生まれてから90年、相田みつをが世に出るキッカケとなった代表作「にんげんだもの」が出版されてから30年を記念しての開催だった。100点以上の作品が展示されていて、1時間以上は見れるくらいのボリュームだった。とても充実した作品展だった。
松岡修造や錦織圭の好きな言葉が展示されていたり、「水筆コーナー」と言って 筆を水に濡らして書けるボードが用意して自由に書けるコーナーが設けられており面白かった。小学校の時に書道を習っていたけれど、中学校以来全く筆を持ってなかったので、久々に筆を持った。
相田みつをの作品は、ネットに転がっている名言集とかで知っている程度だったのでじっくり作品を観るというのは初めてだった。作品の隣に、東京にある「相田みつを美術館」の館長で、相田みつをの長男である相田一人氏による解説があって、とてもわかり易かった。
来ているお客さんも、大学生くらいの子からお年寄りまで幅が広くて、それだけ多くの層に支持されているのだなと感じた。多くの人が受け入れやすい、分かりやすい言葉の詩が多くかつ、考えさせられる作品が多いからかなと思う。
作品を見ながら、「うんうん」と頷くお客さんの姿を見ながらなぜ相田みつをの作品を日本人は求めるのだろうかと考えていた。その理由は、相田みつをの言葉から感じられる「不器用感」と「実直さ」かなと思った。
背伸びする自分
卑下する自分
どっちもいやだけれど
どっちも自分
例えば、この詩。共感できるという人も多いと思う。自分を必要以上に、カッコいい、凄い人であるかのように仕立てあげてしまった自分に気づくときがある。逆に、本当は持っとできるのに「自分なんて~ですから」と必要以上に下に見せてしまう自分もいる。
誰かと比べて、上か下かと優劣をつけてしまう自分に自己嫌悪する自分。この詩は、結果的に人に向けられたものになっているけれど、根本は相田みつをが自分自身に問いかけているもの。
自分の人間として不器用さを表したこの文は、誰もが多かれ少なかれ抱いていて、人間としての、普遍的な悩みであるからこそ一人ひとりの心に受け入れられるのだと思う。自分を卑下している人だけでなく、自分を誇示する人も心の底には不安を隠し持っている。
弱きもの人間
欲ふかきものにんげん
偽り多きものにんげん
そして人間のわたし
人間は強くないし、欲深いし、多くの誤ちをおかす。自分もそんな人間の一人であると謳っているこの詩。人間はそんなに綺麗な生き物ではないのだなということを認識させてくれる。自分だけが特別ではなく、皆同じなんだと気づく。
このような作品が生み出され、世間に広がっていったのも、相田みつを自身が中々世間に報われない苦しい生涯を送ってきたことも関係していると思う。「にんげんだもの」で世間に認知されたのが60歳という超遅咲きの人間で、その7年後には亡くなっている。
- 作者: 相田みつを
- 出版社/メーカー: 文化出版局
- 発売日: 1984/04/15
- メディア: ハードカバー
- 購入: 1人 クリック: 579回
- この商品を含むブログ (54件) を見る
ゴッホや、宮沢賢治などにも通じるけれど、亡くなってから評価される人は生きている間は苦しい生涯を送って来たのかなと思う。
本当は彼らが生きている間に、世間が気づくべきだったのだろうけれど、思っているより世間は賢いものではないから仕方がないという結論になってしまう。けれど、死んでからも自分たちが残した作品を通して人々の心に残っている彼らは羨ましいなと思う。
- 作者: 宮沢賢治
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1991/08/01
- メディア: 文庫
- 購入: 9人 クリック: 45回
- この商品を含むブログ (51件) を見る
話が広がったけれど、相田みつをの人となりと作品から、人間が普段隠しがちな「影」の部分が再確認できた気がする。人間は思っているより綺麗な生き物ではないし、
色々抱えながら生きているものだ考えさせられた「相田みつを展」だった。
- 作者: 相田みつを
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2014/09/27
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- この商品を含むブログ (1件) を見る
余談だけれど、前のエントリーがスマートニュースに載ったおかげで、アクセス数が増えました。数字は、増えたら減るものなんであまり気にしてないけれど、多くの人の目に触れるのは嬉しいと感じました。ではでは。
スポンサーリンク
0コメント